最終更新日 2020-08-14

転職に際しては培ったスキル・ノウハウを活用するのが鉄則。
ここでは転職後も活用できるご自身の強みを考えていきます。
本ページはご自身の強みを知る方法は勿論、実際転職面接で強みを語る際との相違点もご理解いただけるよう作成しましたので、ご一読いただければ幸いです。
目次
自分の強みを理解する必要性
強みの理解は転職にも現職にも通ずる
自身の強みは日々業務をする中では意識する事は少ないと思います。
ただ実際に転職活動をするか否かに問わず、定期的に自身の強みなどを棚卸することは自己の長期的なキャリア発展に不可欠です。
本ページのタイトルは転職を意識した内容となっていますが、今は転職を考えていない方も含め、一度は振り返る時間を設けてみましょう。
強みの考え方は「コア・コンピタンス」が入り口
ご存じの方も多いかと思いますが、経営戦略では「コアコンピタンス」という考えが存在します。
これは経営学者「ゲイリー・ハメル」と元ミシガン大学大学院の教授を務めた「C・K・プラハラード」が1990年代に発表した理論で、要約すると以下の3要件を全て満たすものが「企業の中核的な強み」とされています。
要件① 顧客に価値をもたらす
要件② 競合が真似をしづらい
要件③ 様々な顧客に展開が可能である
ご自身の強みをコア・コンピタンスに基づき考える事は、企業目線と平仄を合わせる意味合いもありますし、何より実際の転職面接の場面での『 面接官の見方 』に通じます。
見方① 自社に価値を提供できる人材か?
見方② 他の候補者より優れているか?
見方③ 自社での活躍の幅がある人材か?
自身の強みを理解する
強みの整理の全体像

ご自身の強みの整理を上記のコア・コンピタンスの考えに沿って整理をしていきます。
ただコア・コンピタンスは知っているものの、実際に考える手順のイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思います。
ここでは先ずは顧客に提供している価値を考え、次にライバルと比べた模倣困難性を考え、その上で様々な仕事への転用可能性を考えて行きます。
上記の手順が望ましい理由、また実際の各手順の内容について以降ご説明をいたします。
先ずは顧客に提供している価値を考える
先ずは相手に提供している価値を考えます。この手順を最初にしているのは自分目線を先ず考えた際に発生しがちな『 プロダクトアウト 』な目線を排除するためです。
具体的な手順として以下の観点で相手に提供している価値を定性的・定量的に考え、『 強みの仮説 』をいくつか出して下さい。
[対象]
①Who?(誰に対し?)
②How Many?(対象の規模は?)
[手段]
③What?(何を?)
④How?(どうやって?)
[結果]
⑤what changed?(何が変わった?)
⑥How much?(どの程度変わった?)
次にライバルと比べた独自性を考える
次に仕事上のライバル(競合他社や同僚など)に対しどう差別化を図っていったかを考えて行きます。
ここでもまずはライバルを特定の上、ご自身の工夫とそれによる結果を定性的・定量的に考えた上で『 強みの仮説 』をいくつか出します。
[対象]
①Who?(誰がライバル?)
②How Many?(ライバルの数は?)
[手段]
③What?(何を?)
④How?(どう工夫した?)
[結果]
⑤what happened?(結果は?)
⑥How much?(効果は?)
その上で様々な場面へ転用できる能力を考える
上記の分析を受け、何となくご自身の強みが見えて来たかと思います。ここでは更に様々な場面に転用できる強みを考えてみます。
具体的にはこれまで経験で一風変わった仕事を想像しながら、強みを考えていきます。なお転職経験や異動がない方もいらっしゃるかと思いますが、性質の違う仕事や職務を想像しながら考えてみて下さい。
ここでも最終的には『 強みの仮説 』を何個か出します。
なお、参考まで場面が違う仕事を考える上での例を例示しています。
[例①:仕事の対象]
①社外向け・社内向け
②少人数向け・大人数向け
[例②:仕事の性質]
③攻めの仕事・守りの仕事
④創る仕事・運用する仕事
最後に一直線に並べて「強み」を導出する

そして最後の確認として、これまで挙げた「強み」の仮説を上記のように表にまとめ検証をしていきます。これまでお伝えしたようにコア・コンピタンスは「AND条件」であるため、この確認を経て「ご自身のコア・コンピタンス」を明確にしていきます。
なお最終的にはコア・コンピタンスは何個も挙げるのではなく2・3個まで絞り込むようにして下さい。
転職で「使える」強みを考えるにあたり
強みをそのまま面接で伝える事はできない
これまで培ったご自身の強みを整理しましたが、これはそのまま転職面接では伝えられません。
何故なら整理した強みは『 現在の顧客 』を起点にした整理であるため、志望する業界や職種での価値提供対象(=顧客)に合わせて「言い換え」を行う必要があるためです。
大切なのは転職先の仕事からの「逆算」
キャリーもマネージャーという職種であるため、中途面接の担当を受け持っています。
中には前職で努力をした事が伺える人が多いですが『 現職の延長 』でご自身のスキルや志望動機をPRする方がいらっしゃいます。
面接する立場であると、その方がコンサルという職場で意欲を持ちながら能力を発揮してくれるかという観点で見ているため、厳しい言い方ですがコンサルの仕事を「想像」や「逆算」する事なくPRしている事が明らかな場合は、面接の通過を見送る事もあります。
ここで整理したご自身のコア・コンピタンスは非常に重要なものです。一方面接等で相手に伝えるには「加工や磨き上げ」といったもう一手間が必要な事は十分ご認識ください。
現職の経験に自信がある人ほど、転職の面接にて「現在の延長」でやりたい仕事やスキルをPRしてしまう気がします。
— キャリー | 外コン◀︎金融 (@Caree_Shigoto_1) 2020年3月17日
一方面接官は入社後に必要なスキルなど「将来からの逆算」で候補者を見るためズレやすいです。
そのため面接対策上「プロダクトアウト」なPRになってないかの確認は重要と思ってます。