最終更新日 2020-08-14

アクセンチュアの2020年の体制変更の狙いや、デジタルやインタラックティブといった組織の特徴を考察していきます。
② 他コンサルのデジタル組織との違いを知りたい方
③ アクセンチュアのデジタルの特徴を知りたい方
目次
アクセンチュアの組織変更の謎
アクセンチュアのデジタルとは何者か?
最近コンサルへの就職・転職の相談に乗る中で、少しずつ以下のような質問を受ける事が増えてきました。
聞いて下さる方には恐縮ですが、残念ながらキャリーは中の人ではないため、明確な答えを持ち合わせていません...
一方キャリーとしても、コンサル業界で働く身としては他業界からも注目を集める「アクセンチュアのデジタル」の動きが気になる事も事実です。
プレスリリース見ると、アクセンチュアは2020年3月1日付けで日本を含むグローバルにてデジタルを含む組織の大幅な変更を行ったようです。
そこで同社のHPやプレスリリースなどから、このデジタル組織の変更の狙いなどを考察してみたいと考えたのが、本ページの作成経緯です。
プレスリリースなどから読み解く
このページではアクセンチュアのプレスリリースなどを中心としつつ、他のファームのデジタル組織との『 違い 』を自分なりに整理しています。
その上で広告やメディアなどデジタル周りの関係者からヒアリングをしながら考察を進めました。
この組織変更により、日本においてもかなり他ファームとの動きの違いが鮮明になってきたと感じておりますので、そのようなイメージを掴むのに役立てば幸いです。
「当たり前に」デジタルを組み入れる
「デジタル」が無くなった?
アクセンチュアの組織変更のプレスリリースを見ると従来あった5つのサービスラインを、4つのサービスラインに統合をしています。
参考:アクセンチュアのプレスリリース
https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20200115.htm
ただプレスリリースを比べて見ると、ある事に気づくかと思います。
どういう事かと言うと、従来アクセンチュアでは別組織であったストラテジー(戦略系)とコンサルティング(戦術系)の2つの組織が統合された事は目につきます。
一方肝心の「デジタル」の名称がプレスリリースから一文字も見えません。
果たして、アクセンチュアはデジタルを無くしてしまったのでしょうか?
組織変更の狙いを考える
一方グローバルのCEOのインタビューを見ると、以下の印象的なコメントがありました。
これを見ると、今回の組織変更の狙いが見えて来るかと思います。
抜粋・出典:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/07137/
この言葉をそのまま解釈すると、元々デジタルに所属していた人材を各サービスラインに配置をすると読み取れます。
念のため「中の人」にヒアリングすると、確かに定量的な人数は不明ではあるものの、デジタルに在籍をしていた人材が各サービスラインに異動をしたようです。
そして更に聞くとその方々の異動先での役割は「デジタル」のままであるとのことで、職種変更ではなく文字通りデジタルを全サービスラインに組み込む動きである事が伺い知れます。
その意味では全ての部門にデジタル人材を配置する事で、この記事でアクセンチュアのCEOが言うように『 デジタル・イズ・エブリウエア 』のソリューションを目指している事が想像できます。
デジタルと戦略・戦術の一気通貫化

以上を総合して、キャリーがまとめた今回の組織変更のイメージが上記の図です。
変更点は大きく以下3つなると思っています。
① StrategyとConsultingの統合
② Digitalの全サービスラインへの組み込み
③ デジタルや戦略・戦術の一気通貫化
StrategyとConsultingの統合も「戦略と戦術の統合」という観点で大きな変化ではあります。
ただデジタルに目を向けると従来が「デジタル並列型」組織とすると、今後は「デジタル統合型」のサービス展開を行う事で、デジタルに関連する知見やソリューションを『 一気通貫 』で提供をしていく姿勢を示したとも言えます。
勿論すぐ効果が出るとは思いませんが、他のファームが「デジタル並列型」の組織運営をしている事が多い中、これは特筆すべき変更かと考えています。
「顧客の顧客」という新領域への着手
聞き慣れない「インタラクティブ」という言葉
もう一つ大きな変化は、新たに「インタラクティブ」というサービスラインを追加した事です。
インタラクティブについては、アクセンチュアのHPは以下の印象的なコメントがあります。
抜粋・出典:アクセンチュア・インタラクティブのサイト
https://www.accenture.com/jp-ja/about/interactive-index
この「顧客体験」にフォーカスし戦略から実行まで行う、という言葉ですが、実は従来のコンサルや他のファームのデジタル組織とは『 フォーカス 』するポイントが大きく異なっているように感じています。
では、どの部分が異なっているのでしょうか?
従来のコンサルとは違う「主語」

上記は典型的な戦略系・総合系ファームのデジタル組織と、アクセンチュア・インタラクティブの比較です。
一番の違いは、暗黙的な主語が『 最終顧客 』であるサービスラインを作った事にあると考えています。
従来のコンサルでは「顧客」が意味する所は暗黙的には「クライアント企業」を指し、彼らが抱える課題に対するソリューションを第一に考えていました。
これは他ファームのデジタル組織においても多少の差はあれど、DX戦略やデジタル改革など「クライアント」のデジタルに関する課題に対しソリューションを提供している面では同様かと考えています。
そのように考えるとアクセンチュアのインタラクティブは、勿論フィーはクライアントから頂くかとは思いますが、「最終顧客」にフォーカスしたサービスをコンサルとして作った意味では特筆すべき事と考えています。
言い換えるとビジネスとして、かなり広告代理店と重複する部分が増えてきた印象を受けています。
勿論メディアバイイングなどの広告代理業に踏み込むかは、現時点では未知数です。また日本での実績・事例作りはこれからであるかとは思います。
ただ某大手広告代理店の方からは、アクセンチュアのデジタルやインタラクティブを明確な『 競合 』として、社員教育を始め諸々の強化をしている話を聞きますので、コンサルのみならず広告業界にも少なからず影響を与えている事は確かです。
アクセンチュアのデジタル・インタラクティブをもっと知るには?
コンサル・広告・メディアの各業界の方に聞くべし
最近キャリーが就職・転職相談を受ける方でも、デジタルマーケをやりたいからアクセンチュアに興味があると話す方が増えてきております。
その意味では、(当然ではありますが)先ずはアクセンチュアのデジタルやインタラクティブの『 中の人 』に話を聞く事が一番です。
一方キャリーの友人で広告代理店やメディア系に勤める方からは、アクセンチュアを含むコンサルティングファームのデジタルに対する取り組みを「競合」や「パートナー」としての目線で聞く事が多いです。
そのため更にマクロの視点でデジタル周辺を俯瞰したい方は、関連する業界の方にも話を聞いてみてはいかがでしょうか。
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