最終更新日 2020-08-28

実態が掴みづらいコンサルティングファームの営業。ここでは事業会社とコンサルの営業活動の違いをまとめていきます。
② コンサルの営業活動を知りたい方
③ 一般企業との営業活動上の違いを知りたい方
目次
ベールに包まれた有名コンサルの営業活動
中々見えづらいコンサル「自身」の営業活動
キャリーが転職や就活相談を受ける中で、たまに外資系コンサル志望の方に聞かれるのが、
という質問です。
一般的な企業活動をベースに考えると、やはり頭に浮かぶのはプラスの意味でもマイナスの意味でも自身が「営業」をするか否かであると思います。
上記の質問の回答をお伝えする前に、先ずは多くの方が頭に浮かぶ一般的な企業像とコンサルの違いを整理してみましょう。
コンサルの「サービス」を理解すれば営業活動の姿も見えてくる
コンサルティングファームはデジタルや全社改革など、何となく『 小難しい 』ものをやっている印象があるかと思います。
ただその「何となく」の感覚はある意味正しいです。
パソコンやテレビなどの有形商品、或いは投資信託やアプリケーションなどの無形商品においても、実は多くの製品やサービスは「定型化」されて販売がされています。
一方でコンサルは課題解決といった「抽象度」が高い分野が主戦場です。加えて戦略系や総合系のファームは顧客企業の経営戦略上の各課題を対象としているため「高度性」「複雑性」が高く、結果的に「定型化」が難しい性質を持っています。
そのように考えるとコンサルでは『 誰が 』顧客企業に提案や営業活動をすべきかが、何となく見えてくるかと思います。
一般的な企業とコンサルの営業活動の比較
一般的な企業と「真逆」のコンサルティングファーム

上記の図は一般的なB to Bサービスを展開する企業と、コンサルティングファームを比較したものです。
一番の違いは営業活動を担う「主担当」の違いです。
一般的な企業では、役員以上がトップ営業をする事はあれど、日常的な営業活動は営業部の担当が担う事が多いです。
コンサルでは実態としてはマネージャー以上から徐々に役割が出てきますが、特にパートナーと呼ばれる役員クラスに対し『 明確 』に営業としての役割と目標が与えられています。
中にはこの違いに驚く方もいらっしゃるかと思います。
ただコンサルティングファームと一般的な企業のビジネスの違いを理解すると、ある意味「必然的」にそのような役割に落ち着く事が見えてくると思います。
以降で詳しく説明をしていきます。
コンサルでは営業は「経営層」の仕事

金融機関、広告代理店、メーカー、パッケージソフトなど、担う重責の差はあれど多くの業界では平クラスの社員が日常的な営業活動を行っています。
一方でコンサルティングファームでは基本的に「営業部」という組織は存在しません。では誰が営業をしているのでしょうか?
基本的に戦略系や総合系のコンサルティングファームは、
- 製造業や金融業などの顧客軸
- 戦略やITなどのサービス軸
の2軸から構成されるマトリクス組織です。
そして例えば「製造業の顧客×戦略サービス」の責任者であるパートナーがいわば『 親分 』として顧客企業から案件を獲得する役割と責務を負っているのが実態です。
違いの要因は顧客企業の「用途」が異なるため

ではコンサルと一般的なB to B企業では何故営業体制の差が生まれるのでしょうか?
この違いは扱う金額の多寡でなく、顧客企業の『 用途 』に目を当てると見えてきます。
① 一般的な企業のイメージ
例えばメーカーの場合、勿論規模や製品によりますが、課長未満の営業担当でも数億円規模の受注を取り扱う事もあります。
冷静に金額だけ見ると、役職のない社員に任せる事に不安はあるかと思います。
ただ顧客企業にとっては『 日常的な 』調達活動の一環であり、自社内に十分な検収体制や資金管理体制などがあれば問題はありません。
② コンサルのイメージ
一方でコンサルティングファームは新規事業進出やデジタル化推進など、顧客企業の経営上『 重要性 』が高い案件をメインに取り扱います。
そのため顧客企業側の責任者は部長や役員、場合によっては社長である事が多いです。
加えてそれらの課題は得てして解決上の『 難易度 』が高く、場合によっては顧客企業側で何年にも亘り解決ができていない問題も存在します。
そのためファームの平社員クラスでは、提案はおろか相談に乗る事も困難です。
更には顧客企業としては案件が始まった以降も、特に全社案件などの場合は継続的に経験豊富で専門性のある方に関与して欲しいニーズがあります。
そのような背景から、コンサルが「トップ外交型」の営業スタイルを取るのは、ある意味当然の帰結であると言えます。
コンサルの営業活動を更に理解するため
マネージャー以上の人から話を聞こう
これまでご説明した通り、コンサルでは少なくともマネージャー以上のクラスの方が営業活動に参画をしています。
勿論マネージャー未満の方でも営業活動に参画している事はありますが、提案書作成などのお手伝い程度に留まっている事が多いです。
提案活動はクライアントのペインポイントを想像し、解決すべき課題を特定をしていく個人的には楽しい仕事です。
加えて他ファームや近年では広告代理店やIT系企業などの異業種とも競合する事があるため、差別化要素を徹底的に考える事もエキサイティングな要素の1つです。
(本当はコンペにならないのが一番ですが...)
そのためコンサルの営業活動を知る上ではマネージャー以上、可能であれば『 シニアマネージャーやパートナー 』の方から話を聞くとより深い話が聞けると思います。
コンサルを「使う側」に聞く事も有力な手段
そしてもう1つが、コンサルを「使う側」である事業会社の方から話を聞く事です。
事業会社側のプロジェクトオーナーも部長や役員クラスであるため、話を聞く事は中々難しいです。
ただ、ともすればコンサル側の人が話す「イケイケ」な介在価値より、あるい意味で『 冷静かつ現実的 』な意見が聞けると思います。
キャリー自身前職では金融機関に勤めており、当然発注を出せる位の役職ではありませんでしたが、コンサルを使うか意図や目的は色々と伝え聞いていました。
コンサルへの理解をトコトンを深めたい方は、事業会社側にもヒアリングしてみてはいかがでしょうか。