最終更新日 2020-10-31

近年人気のコンサルティングファームを志望する上で、必ず目を向けるべきリスク面を現役コンサルの立場でご紹介します。
② コンサル後を含めたのキャリアパスを知りたい方
③ コンサルで働く上での留意点を知りたい方
目次
大人気のコンサルティングファーム
他業界を圧倒する近年のコンサル人気

(出典) オープンワーク株式会社
(URL) https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_68
OpenWorkが実施した21卒の東大生・京大生の人気企業調査において、コンサルティングファームが『 Top10以上 』に何社も並んだ上記の表を目にした方も多いかと思います。
また同様に中途採用においても、各ファームの事業規模拡大と相まってコンサルティングファームの人気は高まっています。
人気の理由は様々とは思います。
ただ表面的に見ても、コンサルティングファームの給与水準の高さ、昇進の速さ、実力主義の人事制度などが、大手日系企業に勤める方にとって魅力的に映るのは想像に難くありません。
単なる勤め先として選ぶのか、覚悟を持って選ぶのか
ただご承知のように、コンサルタントは精神的・体力的に相当負荷がかかる仕事です。
そして終身雇用とは真逆の実力主義であるため、最終的に大多数の人は転職や起業など、新たな道を模索する事となります。
これは著者であるキャリーも例外ではありません。
確かにコンサルティングファームには、知名度や給与水準の高い「良い勤め先」としての見え方もあります。
しかし個人的にはコンサルティングファームの門を叩く事は、日系大手や公務員のような安定的なルートを外れ戦いの日々を続ける『 茨の道 』を歩み始める事と思っています。
従ってこのページでは、コンサルを志望する方向けに考えて欲しい側面をご紹介していきたいと思います。
ファームでのキャリアにおける困難
結局受け身では何も身に付かない
良く就活や転職相談で「成長が速そう」だからコンサルティングファーム、という志望理由を聞く事があります。
成長の定義はさておき、コンサルタントとしてのバリューを出す事に全力を注げば結果的に成長しているケースはよくあります。
ただ認識すべきは、ファームや上司の「最大の関心事」は売上やプロジェクトマネジメントであり、部下のキャリアではないという事です。
この事を認識せず、上司からの「成長できる」という甘い言葉による案件アサインを受け入れ続け、結果的に競争優位のあるスキルが身に付かない事は良くあります。
そのため『 定義なき成長志向 』はかなり危険は発想で、少なくとも成長したい分野につき、以下の点を自分の中で明確する必要があります。
① どの業界か?
② どのプラクティスか?
③ それらに需要があるか?
④ 自分に競争優位は生まれるか?
そして自身がやりたい分野の案件につくためには、当然ながらライバルを差し置いて自分が「名実ともに」最適な人材として認められる必要があります。
そのためコンサルに入社しても受け身では何も変わらず、積極的に機会を取りに行く事が常日頃求められる事になります。
そしてそれを続けるには、相当なエネルギー量を『 日々絶えず 』持ち続ける必要がある事は想像ができるかと思います。
入社して待ち受けるのは生存競争
ご承知の通りファーム毎に運用の徹底度の差はあれど「Up or Out」という制度があります。
これは定期的に訪れるプロモーション(昇進)のタイミングにおいて、次のクラスに行く(Up)か、他の道を探すか(Out)の白黒をはっきりさせる仕組みです。
そのため仮にファームに居続けようとしても昇進の条件はどんどん厳しくなり、生半可な成果と努力ではいつか「限界」が訪れる、ある意味新陳代謝を促す仕組みであるとも言えます。
これは多くの日系企業にはない厳しさであり、晴れてコンサルティングファームに入社したとしても、厳しい生存競争が待っています。
実際キャリーの同僚でも、
① マネージャーになれず退職を選んだ人
② マネージャーになれたがパフォーマンスが出ず退職を選んだ人
はそれなりの人数がいます。
またキャリーが転職して以来5年以上メンターを務めて下った上司も、つい最近退職の道を選びました。
コンサルタント経験を活かした転職には最低限マネージャーは経験すべき、と良く言われています。
ただそこに辿り着く上でそれなりの困難が待ち受けている事は、十分認識した方が良いと思っています。
ポストコンサルも簡単ではない
給与とやりたい事に悩むコンサルからの転職
多くの方はコンサルを辞めた後の転職先、いわゆる「ポストコンサル」にはどのようなイメージを持ちでしょうか?
特に総合系コンサルでは、マネージャーやシニマネで退職するケースの場合、実は給与面の制約から「他のコンサルの同じポジション」が一番多いパスです。
ただ他ファームに転職をしたとしても、そこで生き残りが出来なければ外に機会を求める日が再度到来します。
その他事業会社に転職するケースも勿論ありますが、給与水準は下がる事が多いです。
マネージャー未満の方の転職の場合は同業のコンサルの他、Saas系企業や事業会社のスタッフレベルで転職する事が多い印象があります。
何が言いたいかというと、単にコンサル経験があるだけでは『 バラ色のポストコンサル 』は訪れないという事です。
加えてコンサルティングファームの採用拡大に伴い、労働市場に出回る「元コンサルタント」は年々増えている事から徐々にコモディティ化が進んでいます。
「コンサルを経てステップアップ」と考える方は多くいらっしゃいますが、そのためには自分以外の「元コンサル」に勝つための経験、スキルをコンサル在籍時に必死に身に着ける必要がある事は言うまでもありません。
結局転職時にはマインドのリセットが必要
コンサルティングファームは実は以下の観点では「恵まれている環境」です。
- やる気の高い人材が多い
- 高学歴で質の高い人材が多い
- プロとしての規範を共有した人材が多い
ただキャリー自身元々は金融機関で働いていた経験からも言えますが、多くの事業会社の場合は様々なモチベーションや仕事への考えを持つ人材で構成がされています。
そのためコンサルタントとしての感覚をそのまま持ち込むと、そのような多様なモチベーションを持つ人材のピープルマネジメント経験が不足している事から、結果的に事業はおろか周囲の人でさえ動かせない事態に陥る事はよくあります。
勿論コンサルで得た課題を構造的に捉えるスキルなどは、汎用性が高いものです。
ただ事業会社とコンサルではステークホルダーの多様さも異なっており、またビジネスモデルが全く異なるケースがほとんどです。
そのためコンサルでの経験は「そのまま横展開できる」ものではありません。
またコンサルの経験により「箔がついた」とお考えであれば、コンサル経験者が世に溢れる近年においては正しい意見とは言えません。
最も重要な事は転職先で活躍ができるかという点に尽きますので、結局はコンサル時代と変わらず直向きな努力が求められる事は胸に留めておいてください。